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2006年1月13日 (金)

【認知療法・認知行動療法】コラムその10:モデルとして機能するセラピストだといいんだけど・・・

  前回に引き続き,スポーツクラブのネタを。

  私はエアロビクスのレッスンに出るのが大好きなんですが,インストラクターにも様々な人がおられまして,いろいろと考えさせられることがあります。

  よく感じるのは,「『こうなりたい!』と思わせてくれるようなインストラクターがいいな」ということです。動き(踊り)の組み立て,キュー(手がかり/プロンプト)の出し方,1回のレッスンの構成といった技術的な上手い下手はもちろん重要ですが,インストラクター自身の魅力といいますか,インストラクターが発するエネルギーといいますが,うまく言えないのですが,とにかく,「素敵だな。この人のレッスンに出ていると,この人みたいになれるのかな」と思わせてくれるようなインストラクターは魅力的です。(「この人みたいになろう」と本気で追求するということではなく,「この人が体現しているようなあり方を,私も自分の領域で実現したい」と思わせてくれる,ということです。うまく表現できないけれど)

  逆の例を出せば,エアロビクスのインストラクターにも,インストラクターという仕事や我々参加者をなめてかかっているような人がたまにいますし,あるいは見るからに活力のない不健康そうな人がたまにいて,そういう人のレッスンって本当に説得力に欠けるのです。そういう人のレッスンに出ると,むしろ心身のエネルギーが奪われるというか,ダレてしまいそうな気がして,かえってストレスが溜まったりします。

  我々の仕事であるセラピーも似たようなものだと思います。セラピーをする張本人(セラピスト)が,見るからに不健康だったり不機嫌だったりストレスにやられているようであったりするのは,やはりクライアントさんに対して説得力に欠けると思うのです。まあそれはエアロビクスやサイコセラピーに関わらず,「計算ができなさそうな算盤の先生」「歩き方がおかしいウォーキングの先生」「電車が大嫌いなように思われる電車の運転士」「動物を憎んでいそうな動物園の職員」・・・というように,考え出せばいくらでも例が挙げられそうですが。

  ぐちゃぐちゃ書きましたが言いたいことは,サイコセラピストは,なかでも特に「セルフマネジメントを重視するCBTのセラピスト」は,やはりセルフマネジメントをしっかりやって,「ああ,CBTを実践すると,この程度には元気に生きられるんだなあ」とクライアントさんに思ってもらえるようなモデルであるべき,もとい,少なくとも私はそのようなモデルとして機能したいと思います。

  ただ,あまり完璧なモデルである必要はないと思います(どっちみち,私には無理ですが)。「誰だって生きていればいろいろあって大変だけど,自分でちょっと工夫すれば,何とか,そこそこ,ほどほどに,ぶっ倒れない程度には,自分の心身の状態を保てるんだな」ということを,ある程度の説得力をもって示せるようなモデルであるぐらいがちょうどいいのではないかと思います。また,CBTの考え方や技法を使って,その程度には自分のコンディションを保っていければいいなあ,とCBTのセラピストとしては考えています。

  以上の話は実は「セラピストの自己開示」にも関わってくることだと考えています。それについてはそれなりに書きたいことがありますので,また後日(例によっていつになるかは不明・・・笑),書いてみたいと考えております。

●今日のまとめの一言: CBTのセラピストは,ほどほどに心理的マネジメントが上手な“モデル”として機能するのが理想的!

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2006年1月 9日 (月)

【認知療法・認知行動療法】コラムその9:骨盤を立てる!肋骨を絞る!

  正月休みの間に,久々にスポーツクラブに行き,普段は参加したことのないプログラムにいくつか参加してみました。そのうちの一つに“マットコア”というレッスンがありまして,これは身体のコア(中心部,深遠部)を引き締めるためのレッスンで,具体的に言うと,マットに横になって,横隔膜を使った腹式呼吸に合わせて腹筋の深部をギリギリと締め上げるために,ゆったりとした動きを繰り返す,というものでした。

  初体験のレッスンはどれも新鮮で楽しいものですが,今回参加したレッスンは,インストラクターの教示が非常にわかりやすく,リラックスとはどういうことか,ということを改めて認識させてもらいました。

  もともと私は身体に興味があり,認知行動療法(CBT)でもリラクセーション法を多用することから,リラクセーションに関するトレーニングは,様々なワークショップに参加するなどして積んできてはいるつもりです。が,こうやって新たなレッスンに参加するたびに,また新たな気づきが得られ,とても嬉しいものです。今回のマットコアのレッスンで一番面白かったのは,「骨盤を立てる」「肋骨を絞る」というワークでした。寝そべっていても,マットに胡坐をかいていても,とにかく骨盤をまっすぐに立て,その上で肋骨を絞るように横隔膜近辺の筋肉を内側に収縮させることで,「身体が立っている」という感じをしっかりと得られます。すると特にリラクセーションを意識しなくても,身体の他の部分,特に肩や腕や背中のあたりが気持ちよく脱力するのです。

  リラクセーションを学び,臨床で実践し始めてしばらくして,私が一番疑問を抱いたのは,「“リラックス=脱力”といえども,身体そのものが“しっかり”していなくては,脱力できないのではないか」ということでした。さらにクライアントさんと腹式呼吸法や筋弛緩法を一緒に練習しているうちに,もともとの身体がしっかりしている人は脱力が上手ですが,そうでない人はなかなか上手に力を抜けないことに気づきました。それは自分自身の身体のことを振り返ってみてもそう思います。運動をさぼっていて,たるんだ身体をしているときは,リラクセーションもへたくそだったように思われます。体幹部のトレーニングを再開し,体をしっかりと縦に立てることが再び意識的にできるようになった後のほうが,上手にリラックスできるようになったように思います。

  というわけで,リラクセーション法をより効果的に練習するために,脱力の前に“体幹部をしっかりと立てる”ことに興味を抱くようになってから,すでに何年も経っているのですが,今回,マットコアのインストラクターに,実習と共に言葉で「骨盤を立てる」「肋骨を絞る」という表現を教わり,さらに一つ,何かをつかめたような気がしました。

  といっても「つかめたような気がする」という程度ですので,今後まずは自分の身体を使って,「骨盤を立てる」「肋骨を絞る」ということがどういうことなのか,どのようにすればそれがうまくできるのか,という点を,日々練習してみたいと思います。その練習によってさらに何かをつかみ,CBTにおいてクライアントさんとリラクセーション法を一緒に練習する際に,より効果的なものを還元できるといいなと思います。

  ちなみに「身体をしっかりと縦に立てる」というのは,臨床動作法における知見でもあると思います。が,いかんせん動作法については,私自身あまりきちんと勉強しておらず,できれば一度,みっちりとトレーニングを受けてみたいとも考えております。

●今日のまとめの一言: コアな部分をしっかりさせてこそ,人はリラックスすることができる(のではないか)。

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2006年1月 3日 (火)

【認知療法・認知行動療法】ひとりごと その8:2006年 年明けのご挨拶

  新年あけましておめでごとうございます。

  昨年中盤にこのブログを開設しまして,当初はなかなかいいペースで新記事をアップしていたのですが,途中から完全に息切れ状態となり,今に至っております。年が変わって「よし,今年は気を取り直してどんどん新しい記事を掲載します」と宣言したいところですが,溜まりに溜まっている仕事のことを考えるとそうもいかず,スローペースでボチボチと更新していくというあたりを,現実的な目標としたいと思います。

  ただ,ちょっとここらで方針を転換することにします。

  ブログ開設時は,一つ一つの記事を,認知療法・認知行動療法(CBT)やストレスコーピングの読み物として,それなりに完成度の高いものを書き上げてからアップするというつもりでおりましたが,そういう高い目標を自分に課す限り,なかなか更新できないという状況になりましたので,もうちょっと気楽に,自分のためにCBTに関する備忘録を作るぐらいのつもりで更新していこうと思います。そのぐらいのつもりのほうが,むしろ本音をちゃちゃっと書けて良いのかもしれません。

  というわけで,今年は「CBTとストレスコーピングに関する備忘録」というテーマで適当に書いていくことにいたしますが,気軽にコメント等頂戴できますと嬉しいです。

当ブログを離れて考えると,自分自身の今年のテーマは,第1に,「溜まっている仕事を今年中にしっかりと終わらせる」です。特に翻訳関係が,ひどいことになっておりまして・・・。関係者の皆様,本当に申し訳ございません。全て,何とか2006年中にケリをつけたいと思います。もとい,ケリをつけます。つけますとも・・・!

  2に,いくつかの学会で今年も発表その他を企画しておりまして,それはそれで最善を尽くすとして,特に某学会で予定しております「べてるとCBTに関する企画」を成功させることです。

  3に,昨年はちょっと働きすぎましたので,今年はもう少しスケジュールをゆるやかなものにして,それを維持したいと思います。臨床や研究の仕事に限らず,仕事というのは,「達成する」ことも重要ですが,「維持する・継続する」ことも重要だと思います3年間死ぬ気で頑張って何かを達成するよりも,めりはりをつけながら,ときにはさぼりながら,30年間仕事を続けることのほうが,職業人としてはむしろ価値のあることなのではないかと思うのです。そもそも「価値」とか何とか言っている前に,生活するための収入を維持する必要がありますし・・・。というわけで,心身の健康を損ねては元も子もないので,とにかく今年は,できるだけ良い仕事を長く続けるための最適のペースを身につけたいと考えております。

  以上,年明け早々,だらだらとした文章になってしまいましたが,まあとにかく,今年もCBTやストレスコーピングについて大いに学び,研究し,仲間と語り合い,臨床現場で実践し,多くの方々と共有できるような活動を目指しますので,どうぞよろしくお願いいたします。

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