« 【認知療法・認知行動療法】ひとりごと その6:第5回日本認知療法学会印象記① | トップページ | 【認知療法・認知行動療法】ひとりごと その8:2006年 年明けのご挨拶 »

2005年12月29日 (木)

【認知療法・認知行動療法】ひとりごと その7:第5回日本認知療法学会印象記②

前回の印象記のつづきです。

 “第三世代”のCBTについての話がちらほらと・・・最近,“マインドフルネス”と“アクセプタンス”といった,いわゆる“第三世代CBT”の話を聞くことが多くなりましたが,当大会でもそういった発表がちらほらとありました。第三世代CBTそのものについて,私自身いろいろと考えるところがあり,これはまた別記事にてぜひ書きたいと思っておりますが,第三世代CBTに共通して見受けられるのは,Beckの認知療法が基礎心理学ともリンクしてその幅を広げていることを,あえて「なかったこと」にしているような感じがするということです。とはいえ,第三世代CBTのそれぞれの立場やアプローチで指摘していることは,どれもとても重要なことで,これまでのCBTが強調し損ねてきた側面でもあると思いますので,それを「新たなCBT」という見せ方をするか,「これまでのCBTの再統合」という形でまとめていくのか,そういう分岐点に来ているように思われました。

Beckの認知療法についての誤解もちらほらと・・・上記のとおり,CBTそのものの幅の広がりをきちっと認識し,研究や臨床に生かしている専門家と,Beckの認知療法,というよりBeckが構築した認知再構成法という技法のみを「認知療法」とみなしてしまっている専門家(あえて私はそれを「誤解」を呼びたい)と,やはり混在しているように見受けられました。専門学会においてすらこのような状況ですから,そうでないサイコロジストや医師の間に,このような誤解が根強くあるのは当然といえば当然かもしれません。私としては,まずこちらの誤解を正常化した上で,上記「第三世代」問題に手をつけたいと思っていますが,そうなるともう一度お父さんBeckの文献を読み返す必要があり,「そんな時間はない!」という強力な自動思考が即座に頭に浮かぶのでした(笑)。

このあたりの記事は,以下を参照していただけると幸いです。

http://cbt.cocolog-nifty.com/coping/2005/05/index.html

【認知療法・認知行動療法】コラムその2:新世代の認知行動療法①

【認知療法・認知行動療法】コラムその2:新世代の認知行動療法②】

(ナンバリングがちょっと変ですが・・・)

 復職支援のプログラムについてのセッションがあった!・・・EAPなどの復職支援プログラムにおいてCBTを活かそうという動きが盛んですが,そのような発表だけで5つもあり,1つのセッションが組まれていました。これは当学会では初めてのことで,CBTの広がりが医療だけでなく産業場面にも確実に広がっていることを参加者に印象付けたことだと思います。

 疾患毎のプログラム作成と,幅広い対象への一般プログラム作成の両面が必要・・・というわけで,今回の学会に限って考えたことではありませんが,この大会に参加して改めて感じたのは,①医療領域,とくに精神科領域において,CBTが高度に専門化していく傾向,②医療領域以外のたとえば産業領域,学校領域,開業領域などにおいて,CBTが幅広くそして柔軟に適用されていく傾向,の二方向に向かう傾向が,今後も伸びていくだろうということです。後者の傾向は,多くのユーザーにCBTを役立ててもらうためには非常に重要なことで,多領域においてCBTを実践できるサイコロジストが増えていくことを私は願っております。そのためにはトレーニングの機会が増えることがとにかく必要で,そこが現時点での大きな泣き所でもあるのですが・・・。ま,悲観的にならず,現状を見据えて,私自身,出来る範囲で来年も頑張っていこうかと考えております。

  ちなみに来年の認知療法学会は107月~9日に東大の駒場キャンパスで開催されます。上記のトレーニングの機会を幅広く提供するため,ワークショップのプログラムをこれまでよりも充実させるという計画が立てられているようです。ぜひ多くの対人援助職の方々に参加していただき,いろいろと議論ができるといいなあ,と思っています。

2006年の第6回日本認知療法学会につきましては,よろしければ下記ウェブサイトをご参照ください。

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/tanno/

|

« 【認知療法・認知行動療法】ひとりごと その6:第5回日本認知療法学会印象記① | トップページ | 【認知療法・認知行動療法】ひとりごと その8:2006年 年明けのご挨拶 »

コメント

今回学会に参加できなかったので,このように学会の印象をかいつまんで報告していただけて,とてもありがたいです。

>疾患毎のプログラム作成と,幅広い対象への一般プログラム作成の両面が必要

これはなるほど!と思いました。なかなか自分では言語化できていませんでしたが,このようなことを感じておりました。自分もこうした動きを活性化させていくのに貢献したいと思っています。

投稿: izugaeru | 2005年12月29日 (木) 13時03分

izugaeru様
コメントありがとうございます。
つたない印象記でしたが,お役に立ったのであれば嬉しいです。

私は最近,医師や臨床心理士以外の方々に対してCBTについてレクチャーする機会が多く,これだけ多様な方々に関心を持っていただけるアプローチであれば,あまり専門性にこだわらず多くの方々に使ってもらえるような,安全で汎用性の高いプログラムがあればいいなと思うようになりました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

投稿: coping | 2005年12月31日 (土) 19時07分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【認知療法・認知行動療法】ひとりごと その7:第5回日本認知療法学会印象記②:

« 【認知療法・認知行動療法】ひとりごと その6:第5回日本認知療法学会印象記① | トップページ | 【認知療法・認知行動療法】ひとりごと その8:2006年 年明けのご挨拶 »