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2005年7月28日 (木)

【認知療法・認知行動療法】ひとりごと その1:心理の国家資格の法案→上程断念について

  ときどきこのブログでも「ひとりごと」をブツブツ言ってみることにしました。

  さて,心理職の人は皆ご存知だと思いますが,何とか法案が出来上がるところまでは来ていた「臨床心理士及び医療心理師法案要綱骨子(案)」が結局,今国会に上程されずに終わってしまうことになりました。このような結果に至るまでのゴタゴタはここには書きませんが(と言っても,私が知っていることなんてほんの一部ですが),私が一番残念に思っていることは,「これで認知療法・認知行動療法(CBT)が,よりよい形で日本において広まるチャンスを,一つ逸したな~」ということです。それに尽きると言ってもいいかもしれません。

  私自身は臨床心理士の民間資格でこれまで仕事をしてきていますし,今後もしていく所存ですが,実は今回の騒動では,「医療心理師」派でした。なぜなら医療心理師が国家資格化されることで,医療心理師を養成するための大学学部のカリキュラムが編成され,そこには必ず基礎系の心理学とCBTが必修科目として入るだろうと考えていたからです。それに比べて臨床心理士会,臨床心理士資格認定協会,日本心理臨床学会は,CBTがお嫌いなようで(これ以上はここには書きませんが,このように推定する根拠はいろいろとあります),大学院教育でまともにCBTをトレーニングしているところは,ほんの少ししかありません。

多くの人に役に立つであろうということが,エビデンスとして示されているCBTを世に広めるには,専門家養成が不可欠ですが,CBTをきちんと行える臨床心理士を養成しようという姿勢が,臨床心理士会等の団体には見られません。しかし医療現場の心理職に求められるのは,「効果のある方法で早く治してほしい」というユーザー(患者さん)の切実なニーズに応えることです。そして現時点の諸データから,CBTはユーザーのニーズに応える理論と方法論を持っていると考えられます。だとしたらCBT,およびその基盤となる基礎心理学の知識を心理職が習得するというのは,「ベター」ではなくて「マスト」なのではないでしょうか。

以上のことから,私は医療心理師の資格化を望んでいました。私は現在開業しておりますが,医療心理師が国家資格化されて,いずれは医療機関にて認知行動療法が保険適用されるようになれば,私自身は廃業せざるをえないだろうとも思っていました。しかしそれが,CBTがよりよく日本に広まった結果であれば,それでも良いと考えていましたし,今でもそう考えています。きれいごとのようですが,職業倫理とはそういうものだと思いますし,人間としてはともかく,サイコロジストとしては倫理的でありたいと考えています。

というわけで,ここ数日,この資格問題をめぐってかなりがっかりしております。CBTを受けたい人が,安価で良質なCBTを受けられるようになるまでに,日本ではあと何百年かかるのでしょうか?・・・かなり否定的な自動思考ですが,妥当性は高いぞ(笑)。まあ嘆いていてもしょうがないので,私は自分のできることを毎日地道にやっていきたいと思います。・・・立ち直りも早いぞ(笑)。

以上,今回の資格化問題を,「CBTの普及問題」として考えていた者のひとりごとでした。

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コメント

こんにちは。
ついにcoping様のブログでも、こういう話題が出てきたんですね・・・。
なんだか、他の心理職の方のブログに比べてゆったりしていて安心して読ませていただいていましたが、少し緊張しました。
またよらせてください。

投稿: akino | 2005年8月 2日 (火) 03時21分

akino様
コメントありがとうございます。
資格化の件は,ネット上で議論する気は全くありませんし,このブログの本来のテーマは,心理職ではなくCBTとストレスコーピングですので,迷ったのですが,資格化とCBTとの絡みについてどうしても一言書きたくなってしまったのでした。なので,ほとんど私自身のコーピングのための記事でした(笑)。
本来の話題に戻していきますので,これからもどうぞよろしくお願いいたします。

投稿: coping | 2005年8月 2日 (火) 08時54分

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