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2005年5月 9日 (月)

認知療法,認知行動療法の特徴 その1

【認知療法,認知行動療法の特徴】

  セラピーやカウンセリングには様々な理論や手法があります。はっきり言って,玉石混交です。私から見れば「怪しい」ものもたくさんありますが,とりあえずは「その人に役立つ安全な理論や手法であればよい」と言うことができるでしょう。(セラピーには学問的な裏づけが必要だと私個人は考えますが,ユーザーさんにしてみれば,裏づけがあろうがなかろうが「安全で役に立てば良い」ということになりますでしょうか。)

  ここでは,認知療法,認知行動療法(以下略してCBTと表記)がどんな理論に基づき,どんな技法があり,どんな問題や症状に効果があるのかといった,CBTの特徴について紹介していきます。

●“問題解決型”のセラピーであること: CBTの特徴 その1

  認知療法,認知行動療法(CBT)は,問題解決型のセラピーです。“問題解決”というと何か大変な感じがするかもしれませんが,実は私たちは日々,さまざまな問題を解決しながら生きている存在です。その中には大きな問題もあれば,小さな問題もありますが,CBTで重視するのは,できるだけ問題の単位を小さくして,小さな問題解決を丁寧に積み重ねようという考え方です。小さな問題解決を積み重ねていくことで,毎日,できるだけ気分よく過ごし,気分よく人とかかわり,気分よく仕事や勉強や家事などをこなそうというのです。

  「セラピーやカウンセリングで“問題解決”をめざすのは,当たり前じゃないか」と思う人もいるかもしれませんが,実はそうでもありません。私が運営するCBTの機関には,別のカウンセリングを何年も受けていた人が,「認知療法がいいらしい」「認知行動療法を受けてみたい」と言って来所される人が少なからずいらっしゃいますが,そういう方々が口をそろえておっしゃるのは,「(前のカウンセリングでは)話は聞いてくれたけれど,何も変わらなかった」「話をするだけで,何も解決することができなかった」ということです。

  話をするだけのセラピーが悪いというつもりは全くありませんが(それだけで楽になる人,回復する人も多くいらっしゃることも事実ですから),何らかの問題や悩みや症状を「何とか改善したい」「少しでもよい方向に持っていきたい」という方には,やはり問題解決型のセラピーをお勧めします。認知療法,認知行動療法(CBT)だけが問題解決型のセラピーではありませんが,心理学の問題解決の理論に基づき,もっとも体系的な理論と方法論を有しているのは,やはりCBTだと私は思っています。

  CBTでは,「今,何について困っているのか」ということを,CBTのモデルに基づいて理解し,それを“解決を目指せそうな問題”として表現しなおし,それらの問題状況を改善するために,どんな目標を立てたらよいか,という視点から具体的で現実的な目標を設定し,その目標に到達すつためにさまざまな技法を使って工夫を試みます。そしてそれらの工夫がどの程度効果があったのか,どの程度目標に近づいたのか,適宜確認しながら進めていきます。そして最初に立てた目標が達成され,問題状況が満足のいく程度に改善されれば,一連のCBTのプロセスは終了となります。

  つまり,CBTとは以下の流れをたどるセラピーなのです。そしてこの流れそのものが問題解決のプロセスであると言えるでしょう。

① 問題の全体像を理解する
② “解決を目指せそうな問題”として表現しなおす
③ 具体的で現実的な目標を設定する
④ 目標達成に向けて,さまざまな技法を用いて工夫を試みる
⑤ 工夫の結果を確認し,目標が達成されたら終了する

  重要なのは,CBTを通じて,ユーザーさん(クライアントさん)の問題ができるだけ解決されることと同時に,このような問題解決型のセラピーをクライアントさんが体験することで,クライアントさん自身の問題解決力が伸びるということです。

  セラピーやカウンセリングには,必ず終わりがあるものです。終わった後,クライアントさん自身が,日々出会う問題を解決しようとする際に,これまでよりも上手に工夫できるようになることがとても重要だと思います。そうすれば,逆説的ですが,二度とセラピーを受けずにすむようになるわけです。貴重な時間やお金も,セラピー以外の自分の好きなことに使うことができます。

以上長くなりましたが,CBTの特徴のその1として,“問題解決”についてまとめてみました。

●今日のまとめの一言:認知療法,認知行動療法の実践を通じて,問題解決力を伸ばすことができる。

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